専門学生の私が武者修行で救われたこと
- 齋藤悠衣
- 東京家政大学
- 2017夏
私は武者修行に行った感想は一言で言うと「救われ」ました。なぜこの言葉なのか?
私の大学を簡単に説明すると、「管理栄養士」という国家資格に合格するためのものです。大学の授業内容はその資格に合格するための知識を入れるものがほとんどです。
私がなぜ参加したのか?
武者修行に行った理由で一番大きいのは「新しい世界を知りたい」からでした。私の学科の卒業後の進路はだいたいが管理栄養士、栄養士や食に関する仕事に就きます。最初は私もそのつもりでしたが、次第に管理栄養士として働きたいという気持ちが薄れていました。このまま何となく4年間過ごしてしまうと流れで栄養士として就職していしまうのではないかと思い、何か新しいことに挑戦して視野を広げたいと思いました。
非日常的な空間で感じた2つのこと
武者修行に行った後に実感したことが主に2つあります。1つ目は自分がいかに狭い世界で生きているのかということです。私は女子大で専攻分野もかなり細かく、卒業後もみな同じような職に就く環境で日々の大学を過ごしていたため、それぞれ様々なバックグラウンドや価値観を持った参加者30人との出会いは本当に刺激的でした。みんなほぼ同年代で、こんなにも一人一人は違いがあり、またその違いが面白い。もっと多くの人に出会い新しい世界を知りたいと思いました。
2つ目は、自分の気持ちを言語化し表現することです。私の大学では主に資格の合格のために必要な知識を学ぶ授業がほとんどです。武者修行中もビジネスやチームビルディングの知識をインプットする時間があります。しかし、大学の授業と武者修行では大きな違いがあります。それは知識をインプットした後、自分の気持ちや思いを言語化するところです。大学の授業は、新しい知識や事実を頭に入れるだけですか、武者修行では頭に入れた後それについてどう思うのかが問われます。大学に入ってから自分の気持ちを聞かれたことがなかったので、始めは自分の思いをうまく言語化できず、また自分の意見をちゃんと持ち共有する周りと比べ劣等感を感じ、すごく悔しかったです。しかし、段々と少しずつ自分の気持ちを言語化することができるようになりました。言語化することで、自分の気持ちがはっきりし、自分のbeing(在り方)が見えてきました。自分を知ることで自分の軸が形成され、自分の命をかけて何を成し遂げたいのかはっきりしてきました。そして私は大学で、資格を取ることをゴールにしていたことに気がつきました。大切なのはその資格を取得した後どんな未来を作りたいのか、そこだと思います。
対人関係での大きな変化
以前の私は他人に興味がなく、なるべくトラブルに巻きこまれないように物事を穏便に済ませようとしていました。これには私と母の関係性があります。私は、幼い頃から母の顔色を伺い衝突を避けてきました。楽しい話ではないし、特に話すことでもないと思い、今までこのことを隠していましたが、個人面談の前の日に「ビジネスのことではなく、どんな人になりたいか考えてから面談に望んでください」と言われた時、母と向き合うことが怖くてずっと逃げていることに気づきました。だから、個人面談で初めて全てを打ち明けました。話すことによって気持ちの整理がされ、自分がこれから家族とどう関わっていきたいかがはっきりしました。また、私は他人の痛みや気持ちを理解することが得意だと気づきました。過去のネガティブな経験も無駄ではない、それもひっくるめて今の私なんだと気づきました。他人の心を理解するためには、相手の話を聞く必要があります。相手をより深いところで理解できるようになると、自然と相手の意見を尊重でき、最終的には、チームとの関係性もさらに向上し、優勝することができたのです。
資格を取ろうと考えているあなたへ
資格を取る大学生は、卒業後の進路がある程度見えているからインターンシップなどはいかなくてもいい。インターンシップに行くなら専門分野のものに行った方が将来ためになるという考え方もあります。たしかに専門分野の知識は身につきませんが、武者修行で自分の人生を自分らしく生き抜くための基盤が作れます。自分の生き方が受動的から能動的に変わった2週間でした。一人のビジネスパーソンとしての前に一人の人間として大事なことを教えてくれました。能動的に生きる。あたり前のことかもしれませんが、このことに気づかせてくれた武者修行には大変感謝しています。これが私の救われたことです。