理系がビジネスを学ぶこと
- 稲木應也
- 日本大学
- 2017春
退屈な日々
今思えば、私は実につまらない日々を送っていた。朝起き、学校行って夕方まで過ごし、帰宅してバイトに行く。それが毎日のように続いていた。そんな生活に慣れていたし、何かしたいとも思っていなかった。ただ、時間だけが過ぎていく感覚。はっきり言って時間を無駄にしていた。私は、そもそも理系の学部なんてそんなものなんだ。文系みたいに全休が続いたりなんてほとんどないし講義か研究漬けの日々で自由な時間なんてない。という言い訳じみた事を並べて毎日同じ時間を過ごしていた。毎日がつまらない、これといってやることもない。そんな生活が嫌になって大学に行く意味さえ分からなくなっていた。自分の中で何かしないとという焦りが出てきたのが薬学部5年生になった時だったのだ。
武者修行の事を知る
私は卒業まで残り少ない大学生活でまだ何かできることはないのか必死で探し始めた。そして、たどり着いた答えはビジネスを学ぶことだった。大学を卒業して社会に出る。企業はもちろん、病院や薬局でも就職するということはビジネスをするということなのだ。そう思った私はビジネス経験できるインターンを探し始めた。そして真っ先に目に入ったインターンがこの「武者修行プログラム」。なんとなく胡散臭そうだと思った。しかし、動画や説明会で実際におもしろそうだと思ったのと、ビジネスなんて勉強してないし、何もわからなかったものの、「変態」という言葉やビジネスプランを一から作り検証するという自分の「理系」という枠組みの中から一歩踏み出せそうな気がした。
武者修行に参加して
武者修行中のことを振り返ると思うことはとにかく全力であった。毎日限られた時間の中で決めたことを実行していく日々が続く。もしその日のうちにできなかったらまた翌日。どんどん一日の負担が増すばかり。だから、決めたことは最後までやり抜くために常に考えて動いた。また、チームであったことも一つ大きな助けになった。ビジネスに関しても、英語もできない自分にとって、海外ビジネスというのはとても大きな山だった。もし一人ならまともにアンケート取れなかっただろうし、計画を作るのもままならなかったと思う。チームでPDCAを回すことによって自分の力以上のことができる。それが何より実感できた。しかもそのチームはつい数日前までは直接顔すら合わせていなかった状態なのに。普段の大学生活でここまで試行錯誤し、一つのことを仲間とやることがあっただろうか。低学年から講義をほとんど履修し研究室に配属され、気の合う数少ない仲間とだけで送ってきた大学生活でさえこんなにも一生懸命になることはなかった。
ビジネスの難しさというものも痛感できるのも武者修行の特徴の一つだ。一般的なインターンやビジネスコンテストで自分の考えた企画、思い付きはなかなか実現できないが、ここでは自由だ。しかし、2週間という期間で結果を出すにはロジックがないと難しい。しかし、その通りに進まないこともざらにある。面白いと思ったアイディアだって結局顧客ニーズをつかまないとダメになる。その顧客ニーズをつかむのが大変だったり、とにかく思った通りに進まない。
加えて英語が苦手な私にとってこの2週間はとてもつらかった。アンケートをとることも、つたない英語でプレゼンすることも。英語だけでなく武者修行中は私のプライドに傷をつけるようなことばかりでとても恥ずかしい思いをした。しかし、そういったことを経験することで自分の弱みとかが明確になり、それを改善していこうというモチベーションにもつながる。日本でそういうことから避けていた私はこの武者修行に参加して自分の至らない点をたくさん見つけることもできた。
帰国後
日本に帰国してからは目線が明らかに変わっていた。やりたいことに対して周りの目とか気にせずすぐに実行するようになったし、発言力も以前よりも増していた。将来のビジョン、ゴールもだんだん見え始めてきて今はそれに向かって以前よりも全力だ。武者修行以前はいつも自信がなかったんだと思う。自分の意見が周りに受け入れられるのか、自分浮いてないか、そんなことばかり考えていたように思うのだ。だから恥ずかしがって周りと違うことをすることを恐れていた。しかし、それは自分の可能性を自分でつぶしている事になるからもったいない。もっと早くこの武者修行に参加していれば自分の大学生活もっと楽しめたんだろうなと思うと後悔も同時にある。だから、少しでも武者修行に興味があっていこうかなと悩んでいるのであれば早いうちに参加することを勧める。