『変化し続ける…リスクテイクが人生を面白くする。』ビジネスファシリテーター 三木健吾 | 武者修行プログラム™

『変化し続ける…リスクテイクが人生を面白くする。』ビジネスファシリテーター 三木健吾

 一見、大学生のような風貌からすぐには想像できない、武者修行の影の立役者・けんごさん

ビリヤニを日本の国民食にする!?話せば話すほど謎が深まるばかり。そんなけんごさんが何を考え、日々生きているかを尋ねました。

 

 

けんごさんが日々、何に取り組まれているか教えてください

今は1)実務2)投資3)学業3本柱で生活しています。現在は京都大学経営大学院に在籍し、ワーケーションという新しいワークスタイルをいかに組織が取り入れて創造性を発揮するか、個人がQOL(Quality of Life)を高めていくかといったことについて修士論文を書いています。

 

 

 

新しいワークスタイルを研究テーマにした理由や背景は何かあるのですか

 

大学卒業後、東京で10年働く中で就職・独立・起業を複数回経験し、様々な形態で働いてきました(図を参照)。少し珍しいキャリアかもしれません。いろんな組織を自分の目で見て、キャリアチェンジやパラレルキャリアを体感してきた記憶が、ワークスタイルをテーマに研究しようという思いを起こさせたのだと思います。2019年3月から1年間は、国内様々な場所を訪れながら生活するアドレスホッパー(多拠点生活)を実践しました。

 

アドレスホッパーという言葉は初めて聞きました。旅しながら仕事ってできるものなのでしょうか?

「できる」と言いたいのですが、思い込みを取っ払う必要がある。武者修行で「ビジネスのゴールはお客様に喜んでもらい、対価をもらうこと」を学んだよね。この1年間で取り組んだ仕事の一例を上げると、たとえば京都の缶詰ベンチャーのイベント出店応援というものがあった。そのベンチャーの社長と出会ったのは2016年末に京都移住してすぐだったのだけど、私がビリヤニのレトルト加工や通販をやっている、話をしたら意気投合してそれ以来、親しくしていて。日常業務と並行してイベント出店を行うには人手が足りないというので手伝うことになった。カフェを経営する友人ともビリヤニの話で盛り上がった後、イベントを開いたり。私は面白いなと思う人のところに遊びに行って仲良くなるうちに、気づいたら一緒に小さな仕事をやっている事が結構ある。心がけているのは「仕事モードの自分」という仮面でスキルや経験をアピールして仕事を取ろう、というのでなく仕事とプライベートとの垣根を取っ払って自然体で人間関係を築くこと。あとは仕事の大小や金銭にこだわらず、信頼する友からの依頼には内容などそこまで吟味せずとも即答で「やります」と答える(笑)。

 

けんごさんはロジカルのイメージが強いのに、直感的に行動しているように見えて意外です。

直感を使った判断機会を増やせば、感覚は研ぎ澄まされて精度は上がっていく。ロジックの人と思われがちかもしれないけど、ロジックは判断した後に答え合わせで使っていることのほうが多い。頭を使って考えるのは、今までの自分の枠の中で決めることになるからね。視野や世界を広げようと思ったら、考えても理解できないんだけど、ビビッと感じたことをやってみるのが大事。それで思い描いたようにいかないことも結構あるんだけどね(苦笑)。でもそれはそのときで、頑張って乗り越えるか、思うようにいかないことにも何か意味があるんじゃないか?て思うようにしています。

 

今のような生き方を、いつから目指すようになりましたか?

独立や起業は、大学生の頃から思い描いていたけれど、流れに逆らわずに身を任せていく中で変化した部分も大きい。私は、キャリアには3段階(1)ロール、2)ミッション、3)コーリング)のステージがあると考えてる。

1)ロールは世の中から求められる役割に応えるステージで、社会人になった当初にスキルの専門性を高めたり、受け取っている給料以上の生産性を出せるようになるまでの期間。この時期は一旦、やりたいことを仕事にするよりも他者に求められる仕事を優先することも多い。結果としてスキルが身についたり、人間関係が深まって、社会人としての信頼残高が高まったり、ということが起こる。私の場合は大学卒業後、コンサルティング会社にいた時期がこれにあたります。

 

 

武者では「人生のミッション」を考える機会がありますが、けんごさんはその前段階があると考えてるんですね。

「人生のミッション」を考えるのはとても大事なのだけど、書いて終わりじゃなく書くのが始まり。書き上げた「人生のミッション」はその時点のもので、行動の中で様々な体験と気づきがあって、その都度書き換えていくたびにだんだんと自分にしっくりくるものに変わってく。2)ミッション(使命)のステージでは、求められる役割を果たすだけでなくて、より大きな社会問題や自分の生きがいについて深く考えるようになる。そして積み重ねたスキルの専門性や深めてきた人間関係、貯めてきたお金などを使って、自分で立てた“問い”に答えていく。この頃には、自分のことだけではなく、家族親族や仲間のことも絡み合ってきて、“問い”は複雑になり、答えも1つじゃないし、このステージで葛藤する期間はとても長い。私の場合、初めて独立・起業した2009年頃から10年以上、自分の重心はここにある。

 

最後の「コーリング」というのはどんなものですか?

コーリングは英語で“天命”といった意味があって、自分でも他者でもない何かから偶然受け取ったり、導かれたりするようなもの、と解釈している。私自身、まだ人智を超えたコーリングを受けとっているかがわからない。例えば2013年、インドにバックパッカー旅に出て、山奥の村で土産屋さん一家にお世話になった体験は、何かに導かれていたような気がする。屋根のない星空の下で眠り、公教育の機会は不十分で、職業選択の自由はなくとも幸せそうに生きている人達がいて、可愛らしい娘さんは大きくなったら親のやっている土産屋さんを疑問もなく引き継ぐんだろうなぁ、てふと思って。どうしてこのタイミングで私は彼らに出会い、人生を通じて本当は何をしたいのかといったことを考えたんだろうなぁと。

 

 これからは何をしようと考えていますか?

「生きるように働く」、「人とは違うことをやる」というのを実践し続けたい。ビリヤニとの出会いは偶然で、最初はビジネスにするつもりもなくて、身内でワイワイしていただけなのが、2年経った頃に「炊飯器で美味しいビリヤニ作れたら面白いし、そういう商品作ったら売れて面白そうじゃない?」なんて思いつきで始まった。今でこそ「通販商品があれば対面できない人、全国にいる人向けにビリヤニを提供できる」なんてプレゼンしてるけど、本当はニーズスタートしてない(笑)。好きなことをやり始め、後からそれをビジネスにできるように変えていった。やめるのは簡単だから、続けることを大事にしたい。あと趣味も極めれば仕事になる、ことを伝えたいし参考になるなら自分がたどった過程などは伝えていきたいね。

 

武者に関わられて長い(2015年春から参加)ですが、その関わりはどうですか?

私にとって武者修行は仕事以上に、もはや人生の一部分であって、武者にとっても自分はその一部なんじゃないかと思っている。だから夏休み・春休みがやってくると、当たり前の日常としてファシリテーターをしているんだろうなぁいるんだろうなぁ。単純に面白がってやっているから何度担当しても新しい気づきがあるし、「疲れたー」と感じることはあっても、やめたいとか飽きたとか思ったことない(笑)。

 

最後に、武者生へのメッセージをお願いします

自分に正直に、自由な働き方・生き方をする人が増えてほしいし、選べる人たちを増やしたい。だから私は他人を応援する前に、まずは自分が心に正直になって、無難なことよりも面白そうなことを選ぶ生き方の実践者でありたい。私が大学生の頃に思い描いた36歳の自分像とは全く違ったけれど、想像よりもいい人生を歩めた気がするから、10年後には今の自分が思い描く理想を超えていたい。自分が生涯を通じて、何者にもなれずに一生を終える確率の方が高くても、今この瞬間に命を燃やし続け、目指したその道の途上で死にたいね。

 


■プロフィール

三木健吾

1984年生まれ、兵庫県在住、ヨガ歴2年半。

慶應義塾⼤学総合政策学部卒業。

アビームコンサルティングにて業務・ITコンサルタント、ブルーカレント・ジャパンにてPRプランナーに従事。独立・起業後はスポーツ事業者向けマーケティング、シェフ出張料理、ビリヤニ(北インド発祥のエスニック料理)などの事業立ち上げ・運営を行う。

2014年に株式会社U360(ユーサンロクマル)を設立し、現在は新規事業立ち上げに関するコンサルティングやワークショップ・研修のファシリテーション、日本ビリヤニ協会の運営を行っている。その傍ら京都大学経営大学院にて事業デザイン、経営教育をテーマとした探求活動に従事する。