傲慢な自分との決別
- 平野晶子
- 同志社大学
- 2016春6ターム
直感を信じて
3月12~26日の2週間、ベトナムのホイアンでビジネスをしてきました。
何かしなくては、動かなきゃ!と焦って空回っていた去年の冬頃、漫然とFacebookを見ていたら武者修行の広告が目に飛び込んできました。「これはやるしかない!」と思い、飛び込んだあの時の直感は、今となっては「偶然ではなく必然」だと確信しています。
この2週間で覚えた色んな感情の引き出しを《ビジネス編》と《人生編》に分けて、一つ一つ開いていこうと思います。
立てた企画と現場の違い
《ビジネス編》
武者修行プログラムでは、3~4人でチームを組んで、ビジネスプランを共同で企画し、現地ベトナムで顧客の声を反映させながらカタチにしていきます。
私はベトナム人向けの語学学校MLBでインナーブランディングを担当しました。私のチームの企画は「ポイントカード制を導入し、先生と生徒のコミュニケーションの機会と笑顔を増やす」というもの。授業内で生徒が発言したらポイントカードをgetでき、ポイントを貯めたら景品がもらえることで、生徒の積極性を引き出すことが狙いです。
当初のコンセプトは「新興国のベトナムでは、所得が低く、先生の働くモチベーションは給料なのではないか?ポイントカード制導入によって、先生方の働くモチベーションの対象を生徒にしてほしい」というおこがましいものでした。
しかし、授業を見学したり、先生方の要望を聞くうちに、実際の現場では先生方が生徒に対して真摯に愛情を持って教育に携わっていらっしゃることを知りました。自分は何て“頭でっかち”だったのだろうと。
それに気付いた後は、なりふり構わず現場に飛び込むことに決めました。忙しい先生方の理想の教室に近づくためなら自分の企画に直接関係なくても何でもしようと。
まさか自分がベトナムの路上でビラ配りをして勧誘することになるとは思ってもいませんでした。(笑)
PDCAサイクルを回してもっともっと詰められたところもあって悔しさも残っていますが、帰国後に、ポイントカードを握りしめ、景品のオリジナルTシャツを着た学校の子供たちの笑顔の写真を先生方からメールで送っていただいた時は、本当に感動しました。
お客さんに喜んでもらうとはこんなに気持ちのよいものなんだと。
また、語学学校MLB担当の全3チームが「全員でこの学校のために何が出来るか」を考え抜いて一つのベクトルに向かっていく状態まで到達出来たことが本当に嬉しかったです。
まとめるとビジネス編では
・顧客を顧客で終わらせない
・徹底的に現場で走り回り、実態に触れる
・成功体験について構造把握する。PDCAサイクルを高速回転させる
を学べました。
自分の理想像と現実での葛藤
《人生編》では、一言で表すと「自分の傲慢さ」を突きつけられました。
ビジネスをしにきた私達ですが、とてもチームでビジネスするどころじゃない窮地に陥ったことがありました。チームの3人ともそれぞれ目指すところが有るが故に、ぶつかってしまったことです。
私は武者修行に「優秀なリーダーになりたい」と思って来ていたので、
グイグイ引っ張って行っているはずなのに、なんで上手くいかないの?
他の二人のいいところを引き出してあげようとしてるのに、なんで分かってくれないの?
そんなことを思っていました。
この毒素に毒素で応戦し合っていた危機的な状況だった時、代表の和也さんから頂いた言葉が今でも心に刺さっています。
―チームは何のためにあるの?誰のためにビジネスやってるの?お客さんはどこにいったの?自分の目標だけ達成したいなら一人でやればいい―
この言葉が頭にぐわぁーんと響き、自分の自己中心さや傲慢さに気付いたショックと、いままでの自分の在り方を全否定されたような感情を覚えました。
「二人のいいところを引き出してあげる」だなんて、なんておこがましかったんだろう。こんなに自分勝手だったら、「世のため人のためになれる人間になりたい」という夢は叶えられない。この逆境を乗り越えられたら強くなれるかもしれないけど、こんなに苦しいなら、乗り越えられない人生でいい。ここで止まってもいい。そんなことを思いました。
そこで諦めてしまうことも出来たけれど、私がなんとかこの壁を乗り越えられたのは先に変態したチームの二人が引き上げてくれたからでした。「あっきーが立ち直るまで待ってる。思ってること全部吐き出して」と。
二人のこの言葉のおかげで、今までの自分の“土台”を一旦壊し、変態することができました。
自分の壁を乗り越えたことで、以前のような個人の利益でなく、顧客のことを第一に考え、語学学校の利益に向かって動けました。このこともチームの3人の変態に繋がったと思います。
チーム3人の力(1+1+1)が3以上になったことが何よりも嬉しかったです!
まとめると人生編では
・謙虚になり、人の話を聞くこと
・自己肯定と自己否定のバランスをとること
・壁を何度でも立てて、越え続けること
を学べました。
周りの人に誠実でありたい
今回私たちに関わってくださったファシリテーターや現地の方々の、人と仕事に対する誠実な姿勢に魅せられて、私自身も「周りの全ての人に誠実であろう。謙虚に向き合おう」と思えるようになりました。特にファシリテーターの皆さんが変に大人ぶることなく、喜びや怒り、悔しさを朝礼・終礼で私たちに見せて下さったことが印象に残っています。
また「共感」を超えて、自分以外の人の心の痛みを受け止めた経験は初めてでした。周りの苦しみを感受出来るようになってしまったので、これからは武者修行に来る前よりも様々な気持ちに揺さぶられてしまうのかもしれません。
でも感情の引き出しが増えたことで、日常の色彩が増えたように感じます。
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