自由に生きる勇気を得た | 武者修行プログラム™

自由に生きる勇気を与えてくれた武者修行

  • 島本佳奈
  • 立教大学
  • 2019春

色んなことに挑戦しても足りない

大学入学後、部活三昧だった高校生活とは打って変わって、大学生らしくバイトと授業と遊びの繰り返し生活になった。1年生。授業は何も難しいことはなく、試験前にささっと勉強すれば事足りた。サークル活動や遊びに明け暮れる日々。気づけば1年はとうに過ぎ去っていた。2年生。大学に入って何もできていない自分に焦りを感じ、手当たり次第にいろんなものに挑戦した。まちづくりに興味があったため、国内版ワーキングホリデーに応募し、2週間岐阜の村に住み、NPO団体によるまちづくりをそばで学んだ。他にも資格を取ろうと勉強を始めたり、就職の幅を広げようと公務員試験の勉強をしたり、TOEICの点数を上げるために英語を学びなおしたり。ベンチャー企業でインターンにも参加したし、人生の可能性を広げるために書籍を読み、100本以上映画も観た。自己と向き合い、なにがしたいのか、なにが得意なのかを徹底的に分析した。分析できていると思っていた。しかし何かが足りなかった。どこか充実していなかった。こんなにいろんなことに挑戦して自分を高めようとしているのに、どうしてつまらないのだろう。そんなとき高校の友達と会う機会があった。久しぶりに会った友人は、自分のやりたいことができているらしく、充実しているように見えた。その友達が武者修行について紹介してくれた。変態という言葉、ベトナムでビジネス体験という経験してこなかったワードに怖気づき、その場では完全に信じることはできなかった。冷静に考えて必要ないと思ったらキャンセルしようという気持ちで契約した。しかし、今まで自分の信じる道を突っ走ってきたが何も得られなかった過去を見つめなおし、これに賭けてみようと思った。

客観的に見てもらって気づいた

実際に武者修行に参加して得たものは想像の何倍も多かった。
一つ目に自分すら知らない自身に気付くことができた。自己分析はやってきた方だと思っていた。しかし、自問自答だけでは気付かなかった問題、目を背けてきた部分が見えた。
客観的に自分を真剣に見てくれる仲間のおかげで自分の良いところに気付けたし、それを承認してもらえたことで、自分でも素直に認めることができ、みんなにも広めたいという想いから、どうして自分はこれが得意なのかということについて考えて言語化し、一般化した。その一連の流れを通して、なぜを探り、長所をより高めていける状態になった。
反対に、短所については、チームの仲間から率直に伝えてもらう機会があった。いつもなら反発し自己肯定に入ってしまうが、チームの信頼関係が厚かったため、受け止められた。しかも、それは単なる指摘ではなく、私にどうなってほしいという想いが込められたものであったし、どうしたら改善できるのかを真剣に考え、提案してくれた。自分の弱いところを正直に指摘してくれる友達はなかなかいないし、本気で向き合って改善するために手を貸してくれる友達などほとんどいない。そんな高めあえる仲間と出会えた。
また、長所短所だけでなく、自分の中での軸ができた。自分がどういったことを大事にしていて、どういった価値観を持っているかなんて知らなかった。それを知ることができ、そういったことを考える習慣がついたのは良いことだった。日本に帰ってからも、自分が本当にやりたいことは何なのかという心の声に耳をすますことができるようになった。

二つ目に、本音が言えるようになった。今までは他者からの目を気にしすぎていて、こんなことを言ったら嫌われると思って意見を言うのを躊躇してしまう、意見がぶつかるのが怖くて他者の意見に同調してしまう、相手を怒らせたくなくてネガティブなことを言えない、といった自分にベクトルが向いている状態だった。
だが、武者修行を通して、真に相手のことを想っているのなら、伝えた方がいいことは多くあるとの学びを得て、素直に伝えてみた。すると、みんな反発することなく受け止めてくれ、言ってくれてありがとうなどと感謝されることもあった。本音を伝えることで、ビジネスの場合は、企画がブラッシュアップされてより良いものになるし、チームなど人間関係はさらに深く、強固なものになる。
本音を言うことの大切さ、さらに本音を言えるための環境があることの重要性について身をもって学んだ。

三つ目に、失敗することの大切さを学んだ。今まで、正しい人間でありたい、間違いたくないという気持ちが強かった。なぜなら、自分の能力のなさに直面して自分自身に失望し、もともとない自信をさらに無くすのが嫌だったから。
しかし、挑戦しなければ成長はない、失敗しても受け入れてくれる仲間がいる、弱みを見せないから深い信頼は得られないということが武者修行を通して分かり、一歩踏み出すことができた。弱みを見せたり、人に頼ったりするのはまだまだ苦手ではあるから、これからさらに成長していきたい。

気付きによって自由に生きられるように

以上のように、客観的に自分を見てもらうという経験によって、自分の中で凝り固まっていた思考がほぐされた。また、いろいろな人と語り合い、新たな価値観を加えることで、刺激にもなったし、考えが広がった。もっと内側からくる感情のままに行動していいんだという新たな気づきによって、心が幾分か軽くなり、自由に生きられるようになった。自分の思考を覆っていた靄が晴れたような感覚だった。これからまた壁にぶつかることは多くあるだろうが、そのたびに仲間と助け合いながら乗り越えていけると確信している。