人生第二の原体験 | 武者修行プログラム™

人生第二の原体験

  • 山本将隆
  • 北海道大学
  • 2016夏

 

武者修行との偶然の出会い

本当に偶然だった。ネットで海外インターンを探している最中に偶然目に止まり、「武者修行」という名前に惹かれて、その興奮のまま中身もあまり確認せずに説明会に申し込んだ。大学3年生になり、人一倍勉学に真剣に打ち込み、学生団体などの活動にも積極的に参加している自負はあったが、社会に出て自分のやりたいことを実現するためには、何かが欠けていると感じていた。異国の地ベトナムでビジネスをすることは、自分に足りないものを明らかにして自身を進化させるための絶好の機会になると思い、説明会終了後迷うことなく申し込みをした。

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苦難の武者修行

覚悟してベトナムに旅立ったが、現地の環境は想像をはるかに上回っていた。「ファシリテーターさんからビジネスについての指導を受けて、チームで企画を作っていくから大丈夫。」という甘い考えは最初の3日で吹き飛んだ。基本的なビジネスの知識については教えてもらえるが、大切なことは学んだことを現場で実践し、変化する状況に対応していくことであり、担当店舗に関する情報や企画に必要な資材など、企画に関する全てのことを自分たちで行う必要があった。ビーチを延々と歩きながら、バカンス中の欧米人観光客にアンケートを取っていく作業は、断られることや嫌な顔をされることも多く気持ちが何度も折れそうになった。企画の進捗を考えるたびに「日本に帰りたい。」と思った。img_1955

自分に足りないものを知る

私は考えてから行動するタイプの人間であったが、このような行動パターンでは未知の状況に対応し、高速でPDCAサイクルを回していくことは不可能であることを痛感した。そんな時にファシリテーターの方に言われた、「走りながら考えろ」という言葉は大きな助けとなり、ベトナム滞在中はとにかく行動することを心がけるようにした。

また、論理と感情のバランスをうまくとることの大切さも学んだ。当初私はビジネスの成果ばかりを考え、チームビルディングのことを全く考えていなかった。中間発表後の面談で、オーナーやファシリテーターに、「マサは論理の世界でしか物事を見ていない。感情の世界からの視点で物事を見ないと、世界の半分しか見ていないことになる。」と指摘され、「マサの態度がチームに影響を与えている。」と言われた時は大きなショックを受けた。「チームで何かを成し遂げるには、まず人間関係が大前提なのだ。」ということに気づいた私は、その後ビジネスと同じくらいチームメンバーとの時間を大切にし、深い関係を築いていくことに決めた。img_1989

 

 人としてどのような人生を送るべきか

結局私が学んだことは「海外におけるビジネス」ではなく、「未知の環境におけるビジネス」を通して「人としてどのような人生を送るべきか」ということである。昨今は、グローバル化が声高く叫ばれ、我々学生のお尻を叩くような情報がインターネットを通じて毎日発信されている。しかしながら誤解を恐れずに大胆に言えば、武者修行の経験は、それらが陳腐に見えるくらい学生の「感覚」に響くものである。武者修行で得るものは、「意識高い系になった」とか、「グローバルに働くということの実感が持てた」などという次元の話ではない。

「君の変態を支援する」というのがこのプログラムのキャッチフレーズだが、この「変態」すなわち「メタモルフォーゼ」という言葉に全てが詰まっている。

私自身にとってもこのプログラムは、私の過去10年間の禊であり、まさに変態のタイミングであった。

心の片隅に少しでも「自分は今のままで良いのか?」と思う人は迷わず海外ビジネス武者修行プログラムに参加してほしい。自分の知らない一面や、自分が本当は何を望んでいるのかということに対する答えを、このプログラムは必ず与えてくれる。ただし、自分から必死に掴みに行くことが前提条件である。

この原稿は武者修行が終わって3週間ほど経って作っているものだが、私は今でも毎日武者修行中のことを思い出す。「いつでもここ(武者修行)に戻ってこられるように」というファシリテーターの言葉が今でも耳に焼き付いて離れないからだ。私は今後も「人生第二の原体験」として武者修行プログラムでの経験を胸に刻みつけ、次なるステージでまた生きていく。img_1992