私の生きる道 武者修行プログラム™

私の生きる道

  • 上柳穂夏
  • 産業能率大学
  • 2021春那智勝浦2ターム

チーム崩壊から学んだこと

武者修行では、人生で初めてチームが崩壊するという経験をしました。私は、これまでも部活動やゼミのプロジェクトなどチームで活動する機会は多く、その中でリーダーを務めることもありましたが、そのような困難にぶち当たったことはありませんでした。

私たちのチームは、序盤から議論を活発に行うことができ、豊富なアイデアもたくさん出てきました。話し合いはいつも盛り上がり、とても楽しかったです。ただ、効果測定に向けて試作が本格化したあたりから、チーム内の雰囲気はギスギスし始めました。そして、1人の男の子が爆発してしまい、zoomの画面から外れてしまいました。要は、チームが崩壊したのです。

 そこからファシリテーターの力も借りながら、チームで話し合いをすることになりました。そこでは、今までチームのメンバーに対して思っていたことをお互いに全て話しました。また、自分の価値観や考え、これまで大切にしてきたことなど、自分の人となりを全てさらけ出しました。

 このような話し合いを通して、私は今までの自分自身の言動に対して、”何をやっていたのだろう”という感情が湧いてきました。というのも、今まで効率を上げることやすぐに成果を出すことばかりを重視してしまい、仲間を思いやるということや理解しようとすることをほとんどしてこなかったのです。仲間が崩れていくところを見て、仲間に自分の弱いところを指摘されて…今までの自分の言動を大いに反省しました。そして、何をするにも、相手を思いやる気持ちや理解しようとする気持ちが最も重要であると気づくことができました。

 

 

最後までこだわり抜くということ

 私たちのチームのビジネス面における反省点は、提供する“商品”自体にこだわりきれなかったことです。私たちのテーマは、和歌山県那智勝浦にある「WineKumano」という飲食店で提供するためのテイクアウトメニューを考えることでした。企画をする段階で、お店のオーナーや現地の人々の熱い想いに触れ、徐々にその地域やお店の虜になっていきました。そして、「私たちが考えた商品を通して那智勝浦の魅力を伝えたい」と思うようになりました。そのため、そこから商品名や商品コンセプト、その背景にある思いなどを、時間をかけて考えていきました。最終発表でも、コンセプトや世界感などは大いに評価されました。ただ、結果は「不採用」。「美味しくない」「お客さんに提供できるものではない」と言われてしまいました。

やはり、相手は飲食店であるのだから、おいしいものでなければ提供することはできないし、みんなから食べてもらえるはずがないのだということを実感しました。私たちのチームは、良いコンセプトや商品の世界観を作りあげられたことだけに満足してしまったのだと思います。以上のような経験を通して、最後に形として表れる商品自体にこだわれなければ、その過程やウラにこめられた想いなど、お客さんに伝わるわけがないのだと学ぶことができました。

 

 

なぜ、2週間で深い学びを得ることができたのか

なぜ2週間という短い期間の中で深い学びが得られたのかを、自分なりに考えてみました。その結果、短い期間でビジネスに取り組むことで、誰にも見せたことのないような自分をさらけ出すことができ、今までにない気づきを得ることができるのではないかという答えにたどりつきました。

武者修行では、企画~販売、そしてオーナーやお店の方々に対して提案をするところまで行います。本当にやるべきことが沢山あるし、考えるべきことも沢山あります。そのため、チームの全員が自分の限界を突破し、果敢にチャレンジしていかないと期限までに商品やサービスを完成させることはできません。このように常にギリギリの状態でビジネスを行っていくので、お互いに極限状態になり、本来の自分が現れてきます。その状態で、チームのメンバーと議論を行いぶつかりあうため、今までにない新しい気づきが生まれるのだと思います。そして、そこで気がついたことを、朝礼や夕礼の中でタームのメンバーに話したり、ファシリテーターの方々と話したりすることで、その気づきが、自分の中に学びとして落とし込まれていくのだと考えました。

新しいつながり

 武者修行での体験を、自分にとって価値のあるものにできたのは、武者修行を通して生まれた「新しいつながり」も大きく影響していると感じています。というのも、武者修行で出会った仲間とは、プログラム終了後も関わる機会が多くあり、その中でも様々な気づきや学びを得ることができたからです。タームの仲間とは、武者修行で得た学びを現在どのように実践しているのかという話をしたり、武者修行を通して見えてきた自分の人生のミッションについての話をしたりしました。そのような話をする中で、自分の大切にしていることや、“価値観”みたいなものが段々と見えるようになってきました。

 加えて、「新しいつながり」というのは、同じタームに参加した仲間とだけではありません。プログラム後に行われる、おかえりなさい会や変態後夜祭といったイベントを通して、タームや、年度の異なる方々と繋がることができます。そして、そこで出会った人と様々な話をすることで、武者修行での学びをより深めることや、自分の人生のミッションについて考えていくことができます。私自身も、新しい考えや価値観を持った人とたくさん知り合い、自分の視野を大いに広げることができました。これは、武者修行に参加していなかったら生まれなかった繋がりなので、「新しい繋がり」が生まれたという面においても、武者修行に参加して良かったと心から思います。