『あなたは素敵なんだよ。でこぼこも含めて神様からのギフト』チームビルディングファシリテーター 波多野 貴史
武者修行ファシリテーター インタビュー
「FT紀行」
● チームビルディングファシリテーター 波多野 貴史(タカ)
~チームビルディング FTそしてジェネラル FTも務めるタカさんの優しさのルーツに迫る~
■プロフィール 波多野 貴史(はたの たかふみ)
学歴:Endicott College(Beverly, MA)のSports Management Majorでスポーツと経営そしてスポーツ心理学など学ぶ。在学中、プロジェクトアドベンチャーに出会いファシリテーターの修行を開始。在学中はアトランタオリンピックやスキー場などインターンシップ経験を積み重ねると同時にベバリーYMCAのAdventure Program Departmentでファシリテーターとしても修行を続ける。
職歴:Outdoor Discovery Program, L.L Bean Head Quarter(Freeport, ME)でチームビルディングファシリテーターとしてアドベンチャートリップに挑む前のお客様に対して信頼関係やチームの絆作りに貢献、ビザ問題でYMCA Camp Erdman(Haleiw, Hawaii)に転職。リードファシリテーターからスタートし信頼を勝ち取りChallenge Course Program DepartmentのDirectorとして活躍。
2001/9/11テロ事件をキッカケに帰国。帰国後、大分県でNPO法人ABC野外教育センターのマネージャーとして軌道に乗せるべく土台づくりに励む。家庭の事情で畑違いの分野で生活をしていたが、アドベンチャー教育の世界に戻り現在はフリーランスでチームビルディングプログラムのファシリテーターとして貢献中。アメリカ時代から現在も異文化、多様な背景を持った人達に対してファシリテーションし続けている。
タカさんは普段、どのようなお仕事をされていますか?
一番のメインは「アドベンチャー教育」やね。“心の冒険”という、ドキドキワクワクするような体験や勇気をもってチャレンジしたりするアドベンチャー教育の手法を通して人の自尊心を高めたり、関係性を構築するFTの仕事で、これは若い頃からアメリカで修行してきたものを日本に帰ってからもやっている感じやんな。あらゆる組織(企業・学校・スポーツ団体・NPO法人・大学・一般社団法人など)の中の人間関係を高めていったり、一人ひとりの自尊心を高める仕事やね。ずっとアドベンチャー教育という手法で様々なアクティビティーを通して「人の育成」に関わってきたね。武者修行に関わるようになったきっかけはココア(TFT・佐藤ココア)に紹介してもらったことなんやけど、2016年から武者修行の仕事をするようになったな。それまでのアドベンチャー教育の分野に加えて、武者修行の世界も知って、今は融合されたような感じかな。自然の中に入って人の幸せを考えたり、本当の自分らしさや一人ひとりの命を輝かせるような支援をしたり、そういった仕事を増やしている感じやな(^o^)
アドベンチャー教育に興味をもったきっかけは何ですか?
アメリカの大学に通い始めたときのオリエンテーションプログラムやな。この大学には世界中から学生が集まっていたんやけど、プログラムを通して、自分達の関係性が促進され、たった一日で皆が親友のようになったんよな。衝撃やったし、自分自身は全然、英語が話せないのにこれだけの深い関係性を築けたことに感動したんよ。俺の出身大学はプロジェクトアドベンチャー(PA)の発祥の地ということもあり、すぐに先生に頼み込んで、勉強し始めたんやけど、とっても恵まれた環境だったな。
「学生時代に出会ったアドベンチャー教育を現在まで続けている」その“力の源泉”は何ですか?
“使命感をもって役に立ちたい”という強い情熱やな。アメリカでの修行を始めた頃、FTのアシスタントとして、社会福祉団体のあるプログラムに携わったんやけど、参加者の子ども達は何かやろうとしてもすぐに「できない!無理!」と諦めてしまったり、大人に対して心を閉ざしていたような子達やった。だけど、この子達がプログラムを通して少しずつ心を開いて、「自分にもできるかも?」と自らの可能性を信じ、「僕にはこんな夢があるんだ!」と気づけるようになり、生きる希望をもち始めたんよな。そして自らの人生を自分自身で切り拓いていけるような力を目の当たりにした時、一緒に感動を味わい、共に成長していったことをよう覚えているなぁ。
タカさん自身は、考え方の変化はありましたか?
若い頃は自己中心的だったな。自分自身が尖っていたんよ。自らのロマンを追いかけてたというか、自分のために頑張っていたな(アグレッシブともいうかもな笑)。でも、20代~30代という“頭が柔らかく、様々なことを吸収できる年齢”の時にアメリカやカナダにいたことで、色々な人種や文化にもまれる内に、「~であるべき」「~でいなければならない」っていう固定概念や執着心が全部外れたんよな。
例えばな、日本にいたとき(高校生のとき)、映画に出てきた黒人を見て、「黒人は怖い」っていう固定概念や思い込みがあったんよ。でも、実際に自分自身が出会った黒人の友達とリアルで一緒に遊んだり、本気でぶつかる中で培った経験から、「黒人」というカテゴリーで見なくなり、「黒人は嫌だ」って思わなくもなったんよな。同じ様に、ひとの噂も信じるのではなく、リアルに触れることで、どんな人達であってもその人の生き様や価値観が「いいやん」って思えるようになったなぁ。“許せる範囲が広がった”というんかな。死ななければ何でもOK。そう思えるくらい色々な生き方・考え方・環境・人に触れることで、自らの物差しで人を測らなくなり、一方で様々な物差しを使えるようになってどんな人でも許容できるようになったな。これは“この年になって”というのももちろんあるけど(^o^)
タカさんが大事にしている価値観はなんですか?
「あなたは素敵なんだよ」とその人のでこぼこも含めて受け入れること。その人自身にも自らのありのままの姿は唯一無二であり、神様からもらったギフトなんだよって認めてあげてほしいな(^o^)
そのひとそのひとの心に寄り添う仕事をしていると、その人の輝きや命の素敵さだけでなく、不完全さ、その人が卑下していることでさえも受け入れられるんよな。コンプレックスもチャーミングに見える。最初から「あなたの全てを受け入れる、尊重できる」自分自身が年を追う毎に自然と湧き上がるようになったなぁ。ぜひ自分の“でこぼこ(良いところも悪いところも)”を自慢して欲しい。本当に命は輝いているんだから。唯一無二の個性を自慢できるくらい正々堂々と輝かせて欲しい。
人間そして地球の歴史の中で、普遍的に変わらないことは「補い合うこと・助け合うこと・支え合うこと」だと思う。皆、“でこぼこ”なんやからこそ、補い合い、助け合えるといいなぁ。
武者修了生にメッセージをお願いします!
苦しいときこそ、武者で出会った人、本気でぶつかった仲間を頼って欲しい。人生谷あり山あり。試練もなんぼでもやってくるし。思い通りにならないことがいっぱいある。順調なときはいいけどもエネルギーが落ちているときこそ、1人で悩んで抱え込むんじゃなくて、本当に本音で切磋琢磨して心と心が繋がった武者修了生やFTにも頼って欲しい。1人で思い詰めて人生を駄目にしていくんじゃなくて、下がったときこそ仲間を頼って欲しい。どんな人生送ってもいいからな。
今頃、みんなどうしているかな?ホンマに幸せなんかな?少しでも幸せでいてほしいな。
ホンマにみんなの近況を聞きたいな。とにかく会いたいね。(^o^)
FTにもどんどん連絡ほしい。ちょっとしたことでも連絡してほしいな。武者修行修了生のみんなには「いつでも力になるよ」って言いたい。いつでも連絡くれたら、寄り添います。
– 武者修行会報誌「Pit in」
vol.5号 2021年夏号 掲載