自らの道を進む武者修行修了生をピックアップ!〜坪井俊輔〜 | 武者修行プログラム™

自らの道を進む武者修行修了生をピックアップ!〜坪井俊輔〜

坪井俊輔さん
横浜国立大学理工学部機械工学科在学中。
2015年末武者修行プログラムに参加後、2016年株式会社うちゅうを起業。民間で初めて宇宙教育ビジネスを展開。
2018年6月には、SAgri株式会社を創業。衛星データを利用した農家向けビジネスを展開。現在、インド現地法人「Sagri Bengaluru Private Limited」を立ち上げ、農業×衛星の分野でより正確な「農作物の収穫予測」や「農地スコアリング」を通じて、貧しい地域の農業支援を通して世界の農業問題の解決を目指している。

 

 

学生であり、教育者・起業家の坪井俊輔さん。
今回は彼を「超変態武者生」として取り上げ、武者修行当時の話から自走式エンジンや起業、そして行動を支える原動力を聞いてみました!

 

 

 

かなり前の参加にはなりますが、武者修行になぜ参加したのか教えてください。

 

僕は自分の能力を試したいということがきっかけで参加しました。元々行動的で、団体立ち上げやバックパッカーで海外に行ったり、大学の研究も入学初期から行ったりしてました。ですが、2週間で特にビジネス面で突き落とされて、僕自身は結局何もないなっていうのを痛感したプログラムだったんですよね。

 

 

具体的にどんな2週間でしたか?

 

初めはチームで1人だけ突っ走ってしまい、FTから激怒されたことを覚えています。ただ単に行動するだけじゃないってこと、ビジネスの上でチームビルディングの必要性とか、人を動かすことはどういうことなのかに気付かされました。企画に関しては、ビジネスとして価値を作る能力が圧倒的に足りてなくて、”全然それって意味ないよね”って言われたりもしました…。
特に僕には「プライド」があって、心に刺されるような事を言われると、反射的に否定してしまう傾向があったんです。ある程度周りの人よりも色んな行動をしていたし、僕は大学でちょっと浮いている存在であることも分かっていました。でも何も分かっていない存在のままだから、FTとか社会を知っている大人達にぶちのめされて、めちゃめちゃ悔しかった。でも2週間でそこに気づけて嬉しくも感じることができたプログラムでした。
あとめっちゃ泣きました(笑)それはすごくいい仲間に出会えたことが大きくて、本気で仲間とぶつかったからこそ、一生で何回しかないほどの学びをしたんですね。株式会社うちゅう創業に至るきっかけの一つにもなりました。

 

 

自走式エンジンをどのように捉えていますか?

 

正直、自走式エンジンとか、変態って何だよって思ってたんですよ(笑) でも実際事業を始めてから、この言葉の意味が分かりました。
結局仕事と言っても簡単じゃないわけですよ。起業家に関していうと、普通の人と違うわけで、相当クレイジー。良い企業に行けば、それなりに安定したお金がもらえて、生活できると思う。でも、起業したら最初からお金は貰えなくて、なのに世の中のためになりたいとか言っていて…起業する時点で困難なんです。僕の場合は若いから分からないことが沢山あった。中高大学生と守られた、ゆとりの環境で過ごしていて、何がジンクスかも分からない。でもそんな中で、共同創業者が離れたり、お金のこと等いろんな困難がありました。でもこういった困難をいかに自分で解決して次に進むか、そんな能力が自走式エンジンだと思っています。

 

 

その点で、坪井さん自身が困難を乗り越えてきた”鍵”となる部分は何かありますか。

 

経験ですかね。困難に対する解決策というのはやってみないとまず分からないし、答えを持ってないんですよ。例えば、会社において人を辞めさせるべきかとか、人が離れた時に何をすべきかもなんて正直分からない。けれど、自分が持ちうる経験の中で答えを出すしかないんです。だから、いろんな価値観を取り入れてきました。過去のバックパッカーの経験や、研究ではいろんな論文を参照してみたり、まだまだなんですが…。

 

 

今のSAgriでの事業に繋がっている経験にはどんなものがありますか?

 

一つとして、武者修行で失敗した経験も事業に生きていると思いますし、一つ目の会社(株式会社うちゅう)で失敗した要素が、今のSAgriに生きていたりもします。
でも経験といっても、あくまでそれは自分のバックアップのようなものです。その中で問題を解決できるものがあればそれを使っていく感じかな。それがないと新しいものを生み出せないじゃないですか。これって何かと何かの重ね合わせなんですよ。見方を変えれば、これとこれじゃんっていうものが多いんです。だから、経験を貯めてくのは常にやらないといけないと思っています。とはいえ、僕はまだ自走してないです。自走してる風に見えるけど、いろんな支援があって事業が成り立ってるので。

 

 

色んな支援の中で特に”仲間”はどんな存在になっていますか?

 

仲間の存在というのはそうね…。僕工学でまさにエンジン作ったりするんですけど、エンジンって大小・形それぞれのいろんな部品があるじゃないですか。それが何種類も集まってエンジンが動く。だから部品は原動力みたいに思ってるんですよ。その部品をプラスしていって、エンジンを大型にして行くみたいな。
例えば、50cc のバイクと1000ccの大型バイク比べてほしくて、もし同じ目標達成するために、原付50ccバイクで走ってるのと大型バイクでは、後者の方がスピードが出るから、20日とかで終わって、それがもしかしたらジェット機のやつになったら1日で終わっちゃうかもしれない。多分そのエンジンには、部品の数や質の違いがあるんですよ。
だから、僕の中で仲間の存在は、自分自身のエンジンを大きくしたり、質を高めていくために部品をくれる人、どんどんエンジンをアップデートさせるためにいるように思っています。

 

 

起業へ一歩踏み出したり、それを継続することが実際難しい一方で、坪井さんが”事業を展開・継続”できているのはなぜだと思いますか?

 

僕は良い意味で諦めないという能力がすごいあるかな。だから失敗を沢山するわけです(笑) 社員も離れていったり、辞めさせる時もある。そこから僕への不信感を持たれてしまう時もある。その時はほんと死にたくなった。何のためにやってきたんだと。だけど自分はネジが外れてるのか、その状況をプラスに働かせて、また行動しちゃうんです(笑)
だから絶対諦めないで、こんにゃろーみたいな感じで頑張るんですね。一つに没頭して、状況を改善することを常にしているから、なぜかプラスに働いて、更にこの状況を助けてくれる人がいるんです。人間は、人にできないことがあるって知っている。だから僕はできるところを本気で頑張る。そうするとなぜか他の人が仕方ないな、みたいな形で助けてあげようって気持ちになってくれる。世の中ってそういうもんだなって思っています。

 

 

なぜ他人からのネガティブなイメージを持たれたり、失敗してもプラスに捉えられるんですか?

 

僕には本気で解決したい何かというのがあるんです。昔自分がいじめられた経験があって、宇宙がすごい好きだったけど、否定されて辛かった時期があった。だからこそ、教育事業では、僕みたいに夢を持った子供達を大切にして、その子たちの居場所を作りたい。儲ける以前に、そんな解決したいことがあって、僕は馬鹿だから本心で動いたら、そういったことにものすごい時間を作ろうとするんですね。
もし自分がやっていることに、何か疑いをかけられても、勘違いするしかないかなって。常に客観的に、そんな疑いとか意見を哲学してもいいけど、それも目の前のことから逃げているってことになると思ったんです。だから、夢や自分の信じていること、解決したい課題には自分に素直になって勘違いします(笑)

 

 

今後SAgriを通して叶えたいことを教えてください!

 

僕の心は常に教育者であって、今も宇宙に関わっているけど、どうしても解決できなかった途上国の問題があります。ルワンダに行った時に、そこでは教育だけで解決できない課題があると思ったんです。そこの子供達を取り巻く環境で問題だったのは農業だった。気づいたのは、向こうの子供たちっていうのは、夢持ってるんですよ。意外と日本では環境が裕福すぎて、夢を見なくなっちゃうことがある。でも途上国の子供達は、自分では叶えられない夢があるような感じがして。なので、テクノロジーという僕が研究をしていた分野と宇宙関連で解決できないかと思い、SAgriを創業したんですね。その課題を本気でスタートアップしてやる、夢と彼らの持つ課題を完全に切り離してやる、そういう思いが常に僕にはあります。

 

 

ありがとうございました!

 

 

農業×宇宙で沢山の人を幸せにするため突き進む、坪井俊輔さん。取材時もインドにおられて、次へ次へと事業を展開しようとしている真っ最中でした!「超変態武者生」というだけに、一つの質問をしただけでも、彼の熱い思いが溢れ出てきてここだけには収まりきりませんでした・・・(笑)
取材中、特に印象に残っているのは、好きなこと・やりたいこと、そして自分らしさを大切にして信じ行動すること。周りの言葉に流されず、”自分の人生”を歩む彼のパワーに圧倒されました。これからも坪井さんのご活躍を心から応援しています!

 

筆者プロフィール
馬場宙(そら) 2018年春12ターム